12月

 

 

 

31(日)   よいお年を

 

 

 

 大晦日の夜、ぼくはグレイトフルデッドのビデオを見て過ごした。

グレイトフルデッドの魅力を語るのはなかなか難しい。ラジオでオンエアされて魅力を放つような、キャッチーなギターリフを持った曲があるわけではない。ライブバンドとして鍛えられた彼らの曲は尺が長く、メリハリに欠ける。グレイトフルデッドの魅力とは何なのか?

 ファンとしては説明したいのだけどうまく言えない。けど年の終わりに彼らの映像を見るのは悪くないのではないか、と思う。彼らの音楽は一貫してピースフルだ。

 みなさんよいお年を。

 

 

 

14(木)   修行の場としてのスターバックス

 

 

 

 ぼくにとってスターバックスという店はわりと修行の場である。あのおしゃれな雰囲気がなんとなく落ち着かない気分にさせるし(オレがこの場に混じっていいのだろうかという漠とした不安)、ほどよく混んだ店内、無事に自分の座席を確保できるのかわからない焦りを常に感じつつカウンターの行列に並んでいる。事前に空いた席に荷物など置いておけばいいのかもしれないが、その手法はあまりぼくの好むところではない。

 ぼくはいつもドリップコーヒーか、本日のおすすめコーヒーのどちらかを注文する。カウンターの後ろに掲げてあるメニューを見てもどんな飲み物が出てくるのが想像がつかないので無難なものを選んでいるのです。コーヒーのサイズ、short とか tall といった呼び方にもまだいまいち馴染めていない。新しいコトバを納得して使えるようになるまで時間がかかるのだ、年齢的に。

 病院で骨折した足の診察を受けた帰り、近くのショッピングモールに寄って今ぼくはスターバックスでコーヒー飲んでます。" いつものコーヒーショップで物慣れた風情でくつろいでいるおれ " を、さりげなく演出するべく目下修行中です。

 

 

 

1(金)   平日午前中のスーパーマーケット

 

 

 

 ぼくは現在、骨折した右足が治るまで仕事ができず、年内は自宅で療養という生活を送っています。

 「自宅で療養」と言っても別に絶対安静というわけではない。足が痛むこともない。なので松葉杖を使ってけっこうあちこちに出かけている。

 平日、午前中に近所のスーパーマーケットに買い物に行く。まだ早い時間ならすいているはずだと思いきや、店内にはけっこう客がいる。そのほとんどは年配の人です。年齢のわりにはみんなキビキビと確かな足取りで商品棚の周りを歩いている。この時間帯の主役は彼らなのだ。見慣れたはずの店内だけど、時間帯が違うとこうも雰囲気が変わるものなのかと最初の頃はけっこうびっくりした。ケガをする以前のぼくは、仕事帰りの会社員や子連れの若い奥さんなどでにぎわう夕方の店内の風景しか知らなかったから。

 午前中の年配客の中に、商品のチョイスについて実に厳しい態度で臨んでいる人をよく見かける。その時ぼくが見た年配の男性は、パンコーナーにたたずみ、両手に持ったふたつのパンを交互に見比べ、どっちを購入すべきなのか熱心に思案していた。どちらの手にも同じ商品が乗っていた(バターロールにハムとマヨネーズがはさまったパン、7コ入)。パン工場で大量生産している商品だから品質にそれほど違いがあるとは思えない。ハムの厚さとか、マヨネーズの量とかを吟味していたのだろうか?