7月

 

 

 

27(水)   ハードラック・カフェ

 

 

 

 ハードラック・カフェという名のコーヒーショップがあったらいいな。なにをやってもうまくいかず、不運続きで人生に疲れた " ハードラックな " 者たちが集う店。客同士で互いの悩みを分かち合ったりなどしない。おのおの離れてテーブル席に座り、孤立したままそれぞれの境遇に対してため息をつくのだ。マスターが淹れるコーヒーは絶望的に苦いのだが、誰も砂糖やクリームなど入れたりしない。ブラックで飲み干す。

 おれはハードラック・カフェの常連。コーヒー一杯で何時間もねばる。チェーン化されるといいな。

 

 

 

24(日)   2016. 夏

 

 

 

 梅雨が明け、夏が来た。保育園の年長さんは初めてのお泊まり保育にコーフンし、小学生は「ポケモンGOをやりたいからスマホ買って」とムチャな駄々をこねる。中学生は友だちと連れ立って劇場版ワンピースを見に行き、男子高校生たちは二学期までに童貞を返上するための作戦会議に余念がない。そんな2016夏のはじまり。

  この夏、ぼくは何も予定がない。基本的に遠出はしないし、特別なイベントもなし。いつも通りの夏の過ごし方であります。ホントは今日7/24のフジロックに行きたかったのだけど、間に合わなかった。最終日の一日券はすでにソールドアウトだった。

 

 

 10〜20代の頃には夏が来るとぼくにもそれなりに高揚感があった。けどステキな出会いやワクワクするようなハプニングは起こらないまま、秋風を迎えるのが常だった。

 世の中にはきらめくような夏の思い出を持っている人もいるのだろう。パーティーを抜け出してふたりでランデヴー (←死語)したとか、シャンパングラスを片手に美女を抱き寄せひと夏のアバンチュール (←これも死語)を楽しんだりとか。ぼくの夏に対する期待感ってなにかがヘンだ。

 

 

 ともあれぼくは今夜も350ml缶の発泡酒を片手に扇風機を抱き寄せて過ごす所存です。

 

 

 

7(木)   「プチ」というコトバの持つ魔力

 

 

 

「プチ」というコトバには不思議な効力があると思う。資格取得案内のフリーペーパーの表紙に、「あなたも資格を取ってプチ開業」というコピーがあった。資格を取り、それを生かして独立、開業するのはかなりの労力を要する事だと思うのだが、「開業」という単語のアタマに「プチ」を添えてみるとハードルがグッと低くなる気がする。「気軽にプチ開業しちゃおうかな」てな具合に。

 入院不要の、日帰りが出来る比較的簡単な美容整形手術を「プチ整形」と銘打って宣伝広告を出したら施術希望者がグンと増えたそうだ。「美容整形」には二の足を踏む女子たちも「プチ整形」ならオッケーなのだ。「プチ」というコトバが持つ魔力のなせる業である。